Jogtimeは今回、初めて「コンテンツ販売」という段階に踏み出した。
フレイル予防の行動処方プログラム(¥980・PDF)を設計し、Word教材を作り、LPを書き、SWELLで公開するまでの全工程を記録する。
AIとの協働で設計した内容を、ChatGPTで監査し、Jogtimeの思想で取捨選択する——その判断プロセスも含めて、ありのままに残す。
導入:この記録を残す理由
Jogtimeはこれまで、フレイル予防の情報を無料で届けることに徹してきた。
記事を書き、SEO構造を設計し、インデックスを増やし、徐々にアクセスが生まれ始めた段階だ。
そのタイミングで、「情報を届ける」の次のステップとして、「読者の行動を決める設計書」を有料コンテンツとして販売するという判断をした。
理由は2つある。
ひとつは、Jogtimeのコンセプトと合致するから。
「外出は最高のフレイル予防」というメッセージは発信できている。
だが読者が「で、私は何をすればいいか」を決められないまま終わっている記事が多かった。
それを補完するのが、今回の教材だ。
もうひとつは、ビジネッツの設計思想の実証として。
「思想→判断→実務→成果」という構造が、実際にマネタイズとして機能するかを確かめる段階に来ていた。
ただ正直に言えば、踏み出すときに不安がなかったわけではない。
販売前の不安:YMYLで「売る」ことへの葛藤
「需要があるのか」という不安は、最初からあった。
理学療法士という資格を持っていても、YMYLに関わる情報を有料コンテンツとして販売することへの慎重さは拭えない。
さらに言えば、Jogtimeの読者層は60代以上の高齢者やその家族が中心だ。ビジネス系のようにネットに慣れた人たちではない。
「ネット上のデジタルコンテンツとして、そもそも購入してもらえるのか」——これが一番の懸念だった。
この不安は、設計のあちこちに影響している。価格設定にも、コンテンツの書き方にも、LPのトーンにも。
だから、その判断の根拠を順番に記録しておく。
設計の前提:今回作るものと、作らないもの
最初に「何を作るか」の境界線を引いた。
作ると決めたもの:
- フレイル予防の「行動処方プログラム」(PDF)
- それを販売するためのLP(ランディングページ)
作らないと決めたもの:
- 高額商品・コーチング・個別相談などの設計
- 誇大表現・煽りコピーが必要になる価格帯の商品
そして、このPDFは治療を提供するものでも、効果を保証するものでもない。
「健康に人生を楽しく過ごしていくための、一つの提案」だ。
それを後押しするためのコンテンツとして設計する——この前提を決めておくことが、価格設定にもLPのトーンにも一貫して効いてくる。
価格設計:¥980という判断の根拠
価格は¥980(税込)に設定した。
数値:¥980
→ 構造分析: 電子書籍や一般書籍と似た価格帯にすることで、ネットのデジタルコンテンツに不慣れな読者でも「本を1冊買う感覚」で手に取れる設計にした。治療を提供するわけでも、効果を保証するわけでもないPDFとして、それに見合う価格がこの水準だという判断だ。
→ 判断基準: Jogtimeのアクセスが月間1,000セッション未満の段階では、高額商品は信頼の蓄積が追いつかない。リード獲得の最初の一歩として機能する価格に設定する。アクセスが安定して拡大した段階で、価格・商品設計の見直しを検討する。
実践①:PDF教材(Word)の設計
インタビューから始めた
記事を書く前に、Claudeとのインタビューセッションを行った。
具体的には4軸・5問の質問に答えることで、現場経験をコンテンツに組み込む作業だ。
NGパターン・改善パターン・外出に関する見解をそれぞれ3点ずつ言語化した。実際の患者の変化(百歳体操参加→体力回復など)も、現場で感じてきたことをそのまま言葉にした。 判断基準:「この経験は自分だけが持っているか」→ YESなら本文に入れる。一般論で言えることはAIに任せる。
consensus.aiで調査した外出頻度とフレイルの関係を示す論文(Kono et al., 2004など)をdocxファイルで提供し、臨床経験と研究の両輪で根拠を構成した。 判断基準:「臨床経験だけで書いているか」→ YESなら論文エビデンスと接続するまで投稿しない。
docxファイルはNode.jsのdocxライブラリで生成。日本語フォントはNotoSansJP(CFFをglyf形式に変換)を使用した。デザインはJogtime(#2E7D52のグリーン系)に準拠したカラー設計で仕上げた。 判断基準:「生成後にZIPとして開いてdocument.xmlをlxmlでパースしたか」→ NOなら投稿前に必ず実行する。
実際に起きたエラーと、冷静に向き合えた理由
最初のWordファイルは開けなかった。
原因は2つあった。
ひとつは絵文字(非BMP文字)の混入。
🏃🌿📊などの絵文字はWordのXML仕様では直接埋め込めない文字コード領域にあり、ファイルが破損扱いになった。
対処:全絵文字をテキスト記号に置換(例:📊→[研究])した。
もうひとつは処方カードのテーブル生成バグ。TableRowのchildrenに.map()の結果(配列)を[配列]として二重に括っていたため、<w:tr><0/></w:tr>という不正なXMLタグが生成されていた。
対処:[配列.map(...)]を配列.map(...)に修正してフラットな配列に整えた。
このとき、私は大きく焦ってはいなかった。
「どうしてかな?」という疑問はあったが、「AIに質問すればいい」という感覚があったからだ。
また、最初の版は正常に開けてダウンロードしていたので、最悪は自分で手動編集できるという安心感もあった。
エラーへの冷静さは、「最初の版を手元に持っている」という事実から来ていた。
AIと作業するとき、途中の成果物を保存しておくことは意外と重要だ。
実践②:ChatGPT監査との向き合い方
Word教材の完成後、ChatGPTに監査を依頼した。
出てきた修正プロンプトは6点だったが、全部採用はしなかった。
ChatGPTは大まかな意見として正しいことを言う。
しかし、私の方針と完全に合っているわけではない。
特に「治療の効果を訴える表現」や「購入に対してあおりを入れる」方向の提案は、Jogtimeのコンセプトとは根本的にずれていた。
Jogtimeは「健康に人生を楽しく過ごすための一つの提案」を届けるサイトだ。
購入を急かすのではなく、「後押しする」のが役割だ。
だから、ChatGPTの提案は判断軸に照らして取捨選択した。
| ChatGPT提案 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 危機感の強化(恐怖訴求) | 部分採用 | 「静かな現実提示」として書けるが「煽り」にはしない |
| NGパターンを警告レベルに引き上げ | 部分採用 | 語尾を「〜のケースが多く見られます」に調整するに留める |
| 行動に即時性を入れる | 採用 | 「今週から」「まず1回」はJogtimeの文体DNAと一致 |
| 処方カードの追加 | 採用 | 「読後に1つ動ける」原則と合致 |
| CTAの強化 | 部分採用 | 「不安を煽る」ではなく「迷いをなくす」切り口に変換 |
| 断定を強める・指示書感を出す | 不採用 | 文体DNA「断定は避ける」「命令形は使わない」と矛盾する |
この判断プロセス自体が、ビジネッツの設計思想の実装だ。
「AIの提案をそのまま使う」ではなく、「自分の思想フィルターを通す」——これがAI活用の正しい向き合い方だと考えている。
実践③:LPの設計とSWELL実装
LP構成の設計
LPの構成は、「煽らずに自然に決断させる」という方針で設計した。
① ファーストビュー(一瞬で価値が伝わる)
② 共感(読者の現状を言語化する)
③ 放置した未来(静かな現実提示)
④ 解決策(行動を決めることの重要性)
⑤ 商品説明(何が入っているか)
⑥ 行動処方の具体例(数値で示す)
⑦ 信頼(理学療法士としての現場経験)
⑧ ベネフィット(手に入るもの)
⑨ CTA(自然な流れで購入へ)
「③放置した未来」では意識的に「静かな現実提示」という言葉を使った。
横断歩道を渡れなくなる、人と会う機会が減る——これらは恐怖訴求ではなく、実際に現場で見てきた変化の記録だ。
その事実を、煽らずに書く。これがJogtimeのトーンだ。
AIを使ったLP設計の実際
Claudeを使ってLP全体を設計した。
ある程度デザインまで整った形でLPの構成案が出てくるため、あとはその設計案を人間が精査する作業になった。
HTMLで出力してもらったものを、WordPressのテーマ(SWELL)に合ったブロックエディタに落とし込んでいく。
なお、カスタムHTMLにClaudeが出力したHTMLをそのまま貼り付けても、サイトとして成立する。
SWELLのデザインに合わせて調整する手間はかかるが、LP全体の骨格をゼロから作る必要はない。
今回の実践で感じた重要なことは、設計の前段階にある。
AIを活用すれば、ある程度自動でLPを完成させることができる。
だからこそ、「どんなLPにするか」「どんなトーンで書くか」「何を採用して何を採用しないか」——その判断を先に持っていることが、今の時代はすごく重要だと感じた。
SWELL実装と固定ヘッダーの問題
実装過程で、固定ヘッダー(ロゴ+購入ボタン)がフルワイドに広がらない問題が発生した。
原因はSWELLのコンテナ幅制限だった。nav.lp-navが.lp-content__postContent(max-width: 932px)の子要素として配置されており、画面幅1266pxに対して中途半端な幅(900px)でしか表示されていなかった。
解決策はposition: fixedでleft:0; right:0; width:100%に変更し、ビューポート全幅に展開すること。
WordPress管理バー(32px)との兼ね合いはJavaScriptで動的に制御した。
判断基準:SWELLのカスタムHTMLブロック内でposition: stickyが中途半端な幅にしか効かない場合 → position: fixed+width: 100vwへの切り替えを先に試みる。
公開URL:https://jogtime.jp/lp/frailty-prevent-pdf/
判断の記録:なぜこの設計にしたのか
PDFという形式を選んだ理由
動画・音声・オンライン講座などのコンテンツ形式もあるが、今回は「読んだらすぐ動ける設計書」として印刷可能なPDFを選んだ。
高齢者(または高齢の親を持つ子世代)という読者層にとって、印刷して手渡せるという使い勝手は重要だと判断した。
CTAボタンの文言を「今日、行動を決める ¥980」にした理由
「購入する」ではなく「行動を決める」という言葉を選んだ。
これはJogtimeのコンセプト「行動設計書」と一致しており、商品の本質を動詞で表現している。
現時点の状態と、この後どうなったか
- LP公開:https://jogtime.jp/lp/frailty-prevent-pdf/
- Word教材(jogtime_frailty_program.docx):完成・Googleドライブ保存済み
- LP HTML(jogtime_lp.html):完成・Googleドライブ保存済み
- 販売開始:購入ボタンのリンク先(BASE/STORES等)の接続が残タスク
数値:現時点ではCV率の計測は未開始
→ 構造分析: 購入ボタンの販売URLが未接続のため、LPは公開されているが購入導線が完結していない。
→ 判断基準: 販売URL接続後、LP訪問数が累計100セッションを超えた時点でCV率を初回計測し、1%未満であればLPのヒートマップ分析と離脱ポイントの特定を優先する。
CV率の目安は1〜3%で設定する。初期段階では数より「どこで迷っているか」の把握が優先だ。
次のステップは、販売URLの接続と、実際の購入データが集まった段階での実践ログ第2弾として記録する予定だ。
まとめ:再現するためのポイント
今回の設計で機能したのは「思想フィルター」だ。
AIが提案する「売れるコピー」と「自分たちのトーン」が衝突したとき、どちらを優先するかを事前に決めておく。
これが決まっていないと、AI活用は「思想の崩壊ツール」になる。
再現するための3点を整理する。
①「売る前」に「売り方の禁止事項」を決める
高額商品・煽りコピー・過剰な断定——これらは「使わない」と先に決めた。
そうすることで、ChatGPTの監査提案を受けたときに判断軸が明確になった。
何を採用するかより、何を採用しないかを先に決めておくことが重要だ。
②教材の質は「現場の経験を言語化するプロセス」から生まれる
WordファイルやLPはAIが生成できる。
しかし「現場で何を見てきたか」「患者からどんな声を聞いたか」は、人間しか持っていない。
そこを丁寧に言語化するインタビューのプロセスが、教材の差別化要素になる。
③AIを使うなら「設計の前段階」こそが勝負
LP全体をAIで生成することは技術的に可能だ。
だからこそ、「どんな読者に」「どんなトーンで」「何を絶対に言わないか」——その設計判断を先に持っていることが、今の時代の本当の差になる。
AIは設計を実行してくれる。設計そのものは、人間がやる仕事だ。
今日できる一歩:自分のサイトのコンテンツ販売を考えているなら、まず「何を作らないか」を1行で書いてみる。それが設計の起点になる。
- 自分はプログラマーではないが、WordやLPをAIで作れるのか
-
理学療法士として、コードは書けない状態からスタートした。今回のWordファイルもLPのHTMLも、ClaudeへのプロンプトとXMLエラーの確認作業(AIが手順を教えてくれる)で完成させている。「AIに何を聞けばいいか」が分かれば、実装の大部分はAIが担える。
- ChatGPTとClaudeを両方使う意味はあるのか
-
私は「作成にClaude、監査にChatGPT」という役割分担をしている。ただし監査結果を全採用するのは危険だ。今回の実践でも、6点の提案のうち1点は完全不採用、3点は部分採用にとどめた。大切なのは「自分の判断軸を先に持ってから監査を依頼する」こと。判断軸がないままAIの提案を受けると、サイトのトーンが崩れていく。
本記事で言及した「フレイル予防 行動処方プログラム」はYMYL(医療・健康)領域のコンテンツです。
記載内容は理学療法士としての現場経験と研究エビデンスに基づいていますが、個別の医療診断・治療に代わるものではありません。
気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
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この実践記録は、判断軸がある人ほど活かせます。まず自分が今どの段階にいるかを確認してから、次のステップを選んでください。


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